“終のすみか”について考える ドイツの家考−1b2022年08月24日 05:42

さて、続いて最初の1年間住んでいたドイツの家の各部屋を紹介します。
「快適住宅とは?」のヒントがいくつもありました(^_-)

先ずはリビングです。
ここはTVを見たり、音楽を聴いたりくつろぐ部屋ですが、実際の生活では書斎がメインになっていました。
広さは12畳以上はあったかと思います。
TVはケーブルテレビでしたが、NHKなどの国際放送ですらみられませんし、ドイツ語Onlyなのでほとんど見ていませんでした。
ニュースや各種情報はノートパソコンを利用したネットで得ていましたから、特に不便は感じませんでしたね(^^ゞ
この部屋では何度か日本人赴任者仲間を集めて鍋パーティーを行いましたし、妻が約1ヶ月ほどドイツに来た時にはこの部屋で食事をしていました。
右上のドアからはベランダに出られ、妻が来ていた時にはベランダでのんびりランチを取っていたらしいです(^.^)

部屋の窓はもちろん分厚い二重ガラス窓となっており、どれもドイツでよく見かける「ドレーキップ」といわれる2つの開閉モードがある窓です。
上側を室内側に少し倒す換気モードと内開きモードです。
外に開くタイプの窓はドイツでは見かけませんでした。
いずれもしっかりしたタイト材が組み込んであり、閉めて取っ手でロックすると窓枠に密着し、完全密封状態になる窓ですね。
閉めると断熱性能はもちろんですが、防音性能も非常に高いです。
ベランダに出入りするドアも「ドレーキップ」で窓と同じ機能を有しており、多少の雨程度ならば内倒しの換気モードでも雨はほとんど室内に入りませんでした。
なお、室内窓下には温水ヒーターが付いており、窓下での冷気を温めて冬の暖かさは抜群です。

次に隣の部屋、寝室です。
手前の壁に大きなクローゼットがあります。
ベッドはシングルのマットが二つ並ぶダブルサイズでしたが、ドイツ人サイズですからめちゃ大きく、寝相の悪い私は360°回転してもOKです(^_^;
部屋の大きさはリビングと同じ12畳以上です。
窓を閉め切り、窓シャッターまで閉めると部屋は日中でもほぼ真っ暗となり、窓の防音性の高さも相まって睡眠環境はばっちりでした(^.^)
もちろん、窓下には温水ヒーターが付いているので冬暖かく、ここでは毛布1枚で1年過ごせましたね。

次は書斎です。
ここは本来は子供部屋でしょうか…シングルベッドがある8畳くらいの部屋です。
私はここを書斎として使っており、妻が来ていた時はここが彼女の部屋となっていました。
ここからもベランダに出ることが出来ます。
もちろん、窓下には温水ヒーターが付いていますし、窓の換気モードは最高でした。

次はキッチンです。
キッチンには2列並行でテーブルが備わっており、一つは流し台、食洗器、洗濯機、乾燥機が組み込まれ、もう一つには冷蔵庫、IHヒーター、電子レンジオーブンが組み込まれていました。
その他もろもろ食器、料理器具など全部付きです。
それと、この写真が分かりやすいのですが、窓の下には必ず温水ヒーターが付いていて冬も快適です。

この家の生活で最も便利で重宝したのは洗濯機と乾燥機が自分専用で備わっていたことです!
一般的に、多人数が住むアパートなどは洗濯機や乾燥機は共同使用となり、時々他の人とバッティングするんです(^_^;
そんなとき・・・リズムやスケジュールが狂うんですよ・・・
ここではマイペース♪
自分の都合、自分の時計で時間が進む超便利なところでした♪

さて、このキッチンでは日本との使い方の違い、ドイツ人からのアドバイス&指導がいくつかありました。
先ず、見た目の違い…
シンクの大きさです…たぶん、ドイツのシンクは日本と比べると1/2ほどの大きさしかありません。
決して賃貸だから小さいのではなく、どこの家庭に行ってもシンクが小さいのです。
何故か?
それは…ドイツではシンクで食器や鍋・釜・フライパンなどを洗わないからです。
ドイツではほぼ100%と言っていいほど食洗器がキッチンに装備されており、食器や鍋・釜・フライパン、場合によっては換気扇やレンジフードのファン、フィルターまで食洗器で洗うからです。
もちろん、食べ残しなどは事前に処理してから入れないとだめですけどね。
大家さんはじめ会社の同僚から口酸っぱく言われました…「食器などはシンクで洗っちゃダメ!食洗器を使いなさい!」と(^^;
何故か?…この質問への答えは皆さん同じ!「水がもったいないから!」
そう、食洗器の方が圧倒的に使用する水が少なく、節水になるそうです!
一方、日本では食洗器の評判は今一ですよね…食べかすがこびりついて残ったとか、後掃除が大変だとか…
実は日本の食洗器とドイツの食洗器には大きな違いがあるのです。
それは…水流の強さと温度です。
ここまで言うと分かると思いますが、ドイツの食洗器は熱~い水&洗剤で強い水流で洗うので、脂がこびりついた換気扇のファンなんかも綺麗サッパリ!
これは両方使った経験からその差を歴然と実感したことで断言できます。
ただし、あまりにも強力すぎて洗剤と反応しやすい一部のガラス食器に曇りが出やすくなるので注意が必要ですが(^^;
これ、「快適住宅とは?」の必須アイテムの一つかもしれません(^_-)

一方で、洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、IHヒーター、電子レンジオーブン等々については日本とドイツで一長一短があり、ドイツがダントツに優れているとは思いませんでした。

次に、バス・洗面・トイレルームです。
洗面が2つ付いていることから、ここは家族向けという感じですね。
先ほど「ドレーキップ」の窓モードで室内側に倒す換気モードがあると言いましたが、この部屋は冬以外はいつもこのモードにしておき、換気優先としていました。
冬は窓下にある温水ヒーターで温度差なし、ヒートショックなんて関係ありません(^.^)

なお、ドイツのアパートではバスタブ付きの案件は少ないようで、時々湯船に浸かりたい日本人にとってはありがたい仕様となっていました♪
とはいっても、基本はシャワーが気軽なので、週1回程度しか湯船につかっていませんでしたけどね(^^ゞ
でも、気持ちの良いお風呂を楽しみました♪

あっ、そうそう、もちろんウォシュレットのような水洗便座なんてドイツにはありませんよ(^^;

次にベランダです。
リビング、書斎から簡単に出ることができ、天気の良い休日にはよくここに出て黄昏れてました(^^ゞ
この下には大家さんのお庭が広がっており、やはり大家さんも庭木の陰でのんびり本など読んでいることが多く、ベランダからいつも挨拶してました(^_^)

ここで見てもらいたいのは…少しわかりずらいかと思いますが、外壁の厚みです。
窓の取り付け位置を見てください。
窓自身も相当の厚さがあるのですが、窓のセットオフの量からして外壁は30㎝以上の厚みがあります。
相当断熱材が入っていることが予想されますね。
壁断熱です。

さて、この家、単身赴任者としてはオール設備付きでしたから、身の回りのものだけで十分快適に過ごせました。
ただ、夏はエアコンがないので決して涼しいとは言えませんが、先に述べたとおり、家の断熱性能が高いので魔法瓶効果をしっかり利用するような対応、つまりアナグマ生活を送れば十分に耐えることができましたし、窓を全開にすると風通しも良くてとても快適でしたね。
一方冬は文句の付けようのない全室温水ヒーターでポカポカでした。
部屋の中では半そででOK!夜は薄手の布団もしくは毛布一枚で十分でした。
もちろん、全室温度差なんてありませんから、トイレ・バスルームでのヒートショックなんてのもあり得ません

ともかくも、この家で過ごして、家の窓や天井、床、壁の断熱性能が如何に重要かを思い知らされた一年でした。

最後に、参考ですが…
ドイツの家には必ずと言っていいほど地下室があります。
地下室にユーティリティー設備や洗濯機等々を置くという目的もありますが、意外と暑い夏は室温が上がりにくい地下で過ごすという使い方をしているようでした。
この家の大家さんも地下室に仕事部屋を持っており、夏はもっぱら地下で過ごし、時々庭に出て木陰で…という過ごし方をしているようでしたね。

ともかくも、ドイツでは高断熱の家で冬は暖かく、夏はエアコンなしでアナグマ生活でしのいでいるのを見てとても勉強になりました(^_-)
ずらっと並んだエアコンの室外機から熱をバンバン吐き出している日本とは大違いですね…

では、引き続き2件目のドイツの住処の状況を紹介します…

つづく