中国製万年筆について <PENBBS編その2>2022年03月18日 06:26

それでは中国製万年筆「PENBBS」の3モデルについてまとめて紹介していきたいと思います。
が、今日は一番気になる「インク吸入方式」から見ていきましょう。
もう一度外観を眺めると・・・
中央の<モデル355>はアクリルボディ・琥珀色なので内部構造が見えませんが、実はこの3本、共通点としては胴軸内インクタンク方式、つまりカートリッジやコンバーターは使わず胴軸内にインクを溜める方法で、そこにインクを吸入する方式がそれぞれ異なるのです。
写真にその方式を記入しました。

<モデル268>  「プランジャーフィラー式」
<モデル355>  「新ピストンフィラー式」
<モデル494>  「ピストンフィラー式」

先ず、一番分かりやすい、というかよく見かけるインク吸入方法となっているのは右側の<モデル494>です。

これは「ピストンフィラー式」と言われるもので、中に回転式のピストンがあるタイプです。
下図のように

❶尻軸を回しピストンが
❷下がりきったところで
❸元に回し戻すとピストンが上昇しインクを吸い上げる

といった方式です。
コンバーターでも一般的に採用されていると同じ機構が万年筆本体に組み込まれている方式で、操作が簡単ですね。
この方式はドイツのペリカンが始めた方式で、高級ラインに多く採用されており、インク容量が多く、またインクのボタオチに対しもっとも信頼性が高いようです。
これまで紹介した手持ちの万年筆のうち
 ・MontBlanc Meisterstück 149
 ・LAMY2000
 ・Plikan Souverän M600
 ・Plikan Classic M205
 ・TWSBI Diamond 580
もこの方式です。

次に、左の<モデル268>です。
これは初めて経験する「プランジャーフィラー式」という方式ですが、スケルトン・デモンストレータータイプなので胴軸の中に先端にピストンが付いた金属棒が差し込まれているのが見えるかと思います。
これが特徴的で、この「プランジャーフィラー式」の吸引動作を簡単に示したのが下図になりまます。
❶尻軸のネジを回してピストンを引き上げ
❷そのピストンを押下げることでタンク(胴軸)内部を負圧にして
❸中のシールが開放されたときにその負圧によりインクを吸い上げる

という方式です。
もちろん尻軸のピストン軸のシールがきっちり利いていなければいけません。
ピストンを押し下げて・・・最後にタンクの径の太い所でピストンシールが解放された時に一気にインクが吸引されるのが見ごたえがありなかなか面白いです。
スケルトンモデルならではの楽しみ方ですね(^.^)

さて、最後は・・・中央の<モデル355>です。
これ、「新ピストンフィラー式」としておきますが、正式名称は正直分かりません(^^;ゞ

吸引動作についてはPENBBSのHP上に操作図が挙がっていたので、スケルトン・デモンストレータータイプの写真あわせて説明しましょう・・・
❶先ず尻軸のネジを回してピストン軸を引き上げます。
❷尻軸側にあるピストンにピストン軸をねじ込みます。
❸ピストンを押し込み
❹インクビンにペン先を沈めてピストンを引き抜きインクを吸い込みます。
❺ペン先を上にし、尻軸を回してピストン軸からピストンを外し
❻ピストン軸だけを押し込んで尻軸のネジを締めて完了です。

❼ここで、尻軸を締め込んだままではピストン軸先端が首軸側の入り口を塞いでおり、インクがボタオチしない構造となっています。
❽そこで、使用する場合は尻軸を軽く回して首軸の入り口を開けてインクが供給される

という方式です。
この機構はなかなか難解な上に、購入したのが中が透けて見えないアクリルボディ・琥珀色なので、非常に使い辛かったですね。
何とかインクを吸入して今使っていますが、次回のインク補充の時も悩みそうです(^^;

インクを万年筆に吸わせるのもマニアにとっては楽しみの一つなのですが、この「PENBBS」の3本のうち<プランジャーフィラー式>や<新ピストンフィラー式>はまさにマニア好みのインク吸入方式を採用した逸品であることは間違いないようです(^.^)
ものぐさな方には<ピストンフィラー式>、いやカートリッジ式がお勧めですけどね(^^;

次回に続く・・・