国産本格的万年筆について2022年05月02日 08:35

さて、いよいよ本丸の国産本格的万年筆について紹介していきたいと思います。

先にイントロとして下記の手持ちの万年筆を紹介しました。
左から4本がPILOTで、その右側2本がPLATINUM、右端2本がSALORという国産御三家万年筆メーカーの製品です。
このクラスとなると全てNib,ペン先が14K、18Kや21Kの金ペンです。
また、形状も万年筆らしいもので、特に形状は天冠や尻軸が平たいベスト型や丸いバランス型といわれる定型形状です。
最近は色的にかなりカラフルになっていますが、ついつい手が出るのは黒に金という仏壇カラーといわれる定番カラーになってしまいます。
値段的には流石に国産ですから海外品よりリーズナブルですけど、漆等々装飾系が入るとググっとお高くなっていきます(^^;
私は実用本位での収集なので、高額品には手を出していません。

さて、それでは左から順に紹介していきましょう・・・

手頃なショート万年筆 PILOT STELLA90s2022年05月04日 11:17

手持ちの国産本格的万年筆紹介の最初はPILOTのSTELLA90s(ステラ90s)です。
この万年筆、既に生産中止となっておりカタログ落ちしています。
私の遠〜い記憶、以前にも紹介した

  “はっぱふみふみ”
  “短びのキャプリてとれば・・・”

の大橋巨泉の懐かしのフレーズ・・・そう1970年代に大ヒットしたショート万年筆「エリートS」を思い出させてくれ、とある書店のショーケースにあったこの万年筆を手に入れてしまいました(^^ゞ
実は「エリートS」は1980年に廃盤となったのですが、2013年に「エリート95S」として復刻され、現在もカタログに載っています。
当初、この「エリート95S」を手に入れようかと思ったことがありましたが、今はこのSTELLA90s(ステラ90s)で満足しています(^_^)

さて、今日の主役STELLA90s(ステラ90s)ですが、手に入れたのはナイトブルーマイカの<F>です。
長さ120mm弱で重さ25gの両端が平たいベスト型です。
税抜定価は10,000円で14Kです。
クリスマスセールと型落ちと言うことで確か3割引だったか4割引で手に入れました(^_^)
この長さ120mm弱はかなり短く、後日紹介するPILOT CUSTOM74と比較するとその短さが分かると思います。
ちなみに先に紹介した「エリート95S」とほぼ同じ長さです。
製品名のSTELLA(ステラ)とはラテン語に由来し、「星」とか「惑星」を意味し、塗装にラメが入ってキラキラした感じでとても素敵な色合いです♪

キャップ、胴軸、Nib,ペン先&首軸に分けると・・・
キャップと胴軸は嵌合式でカチッと心地よい音を立てて閉まりますし、外す時も片手で軽く抜けます。
インクはカートリッジとコンバーターに対応していますが、コンバーターは短いCON-40しか使えません。
今は入っているインクはPILOTのボトルBlueです。

キャップのリングはなかなか手が込んでおり、黒と銀のストライプに製品名の「STELLA90s」と刻印され、その裏には「PILOT JAPAN」と刻印されています。

Nib,ペン先、首軸を見てみましょう。
首軸は黒い樹脂製でグリップは非常に良好です。
その首軸の先にシルバーのリングがあり、胴軸との接合部とのリングと合わせて良いアクセントになっています。
Nib,ペン先は14K 3号 シルバーのロジウム仕上げになっており、高級感のある模様とともにペン先から「PILOT」「14K-585」「3」「<F>」と刻印されています。
首軸とのつなぎ目に「A507」と読める刻印が入っていますが、どうも「A5」が製造工場で「07」が製造年2007年を示しているようです。

さて、肝心の書き味、書き心地です・・・

これまで紹介してきたPILOTの鉄ペンとは全く書き味、書き心地が違います。
やはり金ペンの滑らかさや腰の柔らかさを感じますね。
鉄ペンの<F>はインクフローが渋めでカリカリ感で細すぎるかと思っていましたが、このSTELLA90Sの<F>はインクフローもそこそこで文字幅も少し太いように思います。
このサイズ感は秀逸で、気軽に何処にでも持ち歩けるとても使いやすい万年筆だと思いますし、手の小さな女性に良いのではと思います。
もし、まだ店頭にあるようであれば手に入れても良い1本ではないでしょうか(^_^)

シンプル&ソリッドなデザインの本格派万年筆 PILOT CUSTOM HERITAGE 912022年05月05日 16:44

今回はシ ンプルなボディフォルムに加え、クリップや金輪などをシルバー基調でまとめたソリッドなデザインの本格派万年筆、PILOTのCUSTOM HERITAGE 91(カスタム ヘリテイジ91)です。
両端が平坦なベスト型で、色展開も3色とシンプルです。
派生モデルとして透明軸のカスタムヘリテイジ92やNib,ペン先が大きい上位モデルのカスタムヘリテイジ912があります。
私は気軽に使えることを意識して14KのCUSTOM HERITAGE 91で、色はダークブルーをチョイスしました。
税別定価12,000円です。


先に紹介したSTELLA90s(ステラ90s)と並べると・・・


STELLA90sの兄貴分のように見えますね(^_^)
色はステラ90sのようなラメが入っていないのでソリッドのやや暗めのブルーで落ち着いています。

天冠、尻軸、首軸は黒色、金物はNib,ペン先も含めて全てシルバー仕立ててです。


キャップはねじ込み式です。
キャップのリングには裏側に「PILOT JAPAN」そして表には・・・


ぐるっと「CUSTUM HERITAGE 91」と刻印されています。

Nib,ペン先、首軸を見てみましょう。


首軸は黒い樹脂製で短めですがグリップは良好です。
Nib,ペン先は14K 5号 シルバーのロジウム仕上げになっており、高級感のある模様とともにペン先から「PILOT」「14K-585」「5」「<FM>」と刻印されています。
首軸とのつなぎ目左側に「P121」と読める刻印が入っていますが、どうも「P」が製造工場で「121」が製造年2021年の1月を示しているようです。
右側にも何やらマークが入っているのですが・・・読み取れません(^^;ゞ

さて、肝心の書き味、書き心地です・・・

Nib,ペン先は先に紹介したSTELLA90sと同じような模様、刻印ですが、3号と5号の大きさの違いと文字幅<F>と<FM>の違いがあります。


右上がCUSTUM HERITAGE 91で5号<FM>、左下がSTELLA90sで3号<F>です。
同じ14Kロジウム仕上げでサイズが一回り違うだけです。
文字幅はCUSTUM HERITAGE 91が<FM>でファインミディアムなので<F>ファインのSTELLA90sより多少太く、書き味もSTELLA90sのサリサリ感より滑らかなサラサラ感があります。
インクはペリカン4001ブルーブラックを入れており、表面張力が高めのインクなのでインクフローが渋めになるのですが、なかなか良い感じです♪
書き味、書き心地はインクによっても変わるのですが、この組み合わせが私に合うのかもしれません。
私的には文字幅が細い割には好みの書き心地ですね(^_^)

ひとやすみ 散居村夕景2022年05月06日 19:55

この時期の砺波平野散居村の風物詩です・・・

砺波平野散居村夕景

ひ・と・や・す・み♪

変わり種ペン先 PILOT CUSTOM74<MS(ミュージック)>2022年05月07日 07:26

国産の本格派万年筆(定義が曖昧ですが、ここでは金ペンとしておきます)に手を出し始めてから国産御三家と言われるPILOT、PLATINUM、SAILORの製品を物色してきました。
が、やはり各メーカーの代表的な万年筆が気になりますね。
中でも、PILOTというと豊富なモデル展開をしている“カスタム”シリーズに特に物欲がかきたれられます(^^;
“カスタム”シリーズは1971年に「CUSTOM Kシリーズ」が最初に発売され、まさに名の通り「使う人の注文に応える」という使う人の様々な「書く」に応えるために、進化し続けてきたシリーズということになります。

調べてみると、現在この“カスタム”シリーズは大きく分けて4つに分類されているようです。

1.シリーズ最高峰 黒く艶やかな漆仕上げ
   カスタム URUSHI / カスタム845
   税別5~9万円ほど・・・
2.豊富なペン種から選べるスタンダードモデル
   カスタム743 /カスタム742 /カスタム74
   税別1.2~3万円ほど・・・
3.世代を超えたシンプルデザイン HERITAGEシリーズ
   ヘリテイジSE / ヘリテイジ912 / ヘリテイジ91 / ヘリテイジ92 / ヘリテイジCR
   税別1.2~3万円ほど・・・
4.素材・デザイン・機能が魅力 その他のカスタムシリーズ
   カスタム823 / カスタム槐〈えんじゅ〉 / カスタムカエデ / カスタムNS
   税別1~5万円ほど・・・
  
この中では先に紹介した比較的入手しやすい価格のCUSTOM HERITAGE91を先に手に入れて満足していましたが、やはり本流のバランス型「豊富なペン種から選べるスタンダードモデル」が次に気になります(^^ゞ
しかも、仏壇カラーです(^.^)
一方で、この「スタンダードモデル」は“豊富なペン種から選べる”というのが非常に興味をそそります(^_-)
そのペン種(Nib,ペン先の種類)は次のごとく豊富です!
全部で15種類!
通常の線幅による<EF>とか<F>、<FM>、<M>、<B>、<BB>は理解できるのですが、興味を引くのが<SF>、<SFM>、<SM>といった“S”が付いたソフト系、そしてなんといってもYouTubeで話題になった<FA(フォルカン)>や<WA(ウェーバリー)>、<MS(ミュージック)>といった特殊ペン先です。
いろいろ下調べをしましたが、ソフト系や<FA(フォルカン)>といったしなり系は筆圧が高い私には使いこなせないようで断念です。
一方で、<WA(ウェーバリー)>、<MS(ミュージック)>が面白そうです・・・

さて、もしこのような特殊ペン先を試すのであれば、“カスタム”シリーズの高額モデルは万が一使いこなせなかった場合のリスクがあります。
で、選んだのがスタンダードモデルの中でもお安いCUSTOM74です。
両端が丸いバランス型で、税抜価格が12,000円です。
カラーは・・・やはり基本の仏壇カラー黒金でしょう(^_-)

さて、肝心のペン種(Nib,ペン先の種類)ですが、これだけはネットで決められないと思い、実店舗で試し書きして決めようと思いました。

その結果、決めたのが<MS(ミュージック)>です(^^;

既に類似のカリグラフィーペンLAMY Joyを持っていたのですが、金ペンで同類のような使い方ができることもあり、店頭で試し書きをしたうえで決めました♪

ちなみに・・・特殊ペンの内<C>と<MS>は価格が+2,000円高くなるのとカラーは黒のみになります(^^;


CUSTOM74 ミュージック、です。
PILOTのバランス型「CUSTOM」の特徴であるクリップ先の“球”、ついに手に入れました(^.^)

さて、ここで先に紹介した“カスタム”シリーズの内のもう一つHERITAGEシリーズのCUSTOM HERITAGE91と並べてみます。


こうしてみると、CUSTOM74とCUSTOM HERITAGE91は同じ価格帯であることから仕様はほぼ同じですが、バランス型とベスト型の違いでの全長とクリップ形状が異なるだけのようです。
ちなみに、CUSTOM74には金物がゴールドとシルバーがありますが、CUSTOM HERITAGE91はシルバーだけです。

バランス型の“カスタム”シリーズの特徴は先にも書きましたがクリップ先の“球”です。
クリップ廻りを見てみましょう・・・
クリップに「PILOT」の刻印、先にまん丸い“球”。
特徴的ですね(^.^)
キャップリング中央には「CUSTOM74」と刻印されています。
真横からみてもクリップ先端は真ん丸の“球”であることが分かりますが、この“球”については好き嫌いがあるようです。
私はPILOTの万年筆!という主張があって好きな方です♪

さて、次にNib,ペン先と首軸を見てみましょう・・・
先にも書きましたが、今回のCUSTOM74は先に紹介したCUSTOM HERITAGE91とバランス型とベスト型の違いはあるものの、基本的な仕様はほぼ同じです。
故に、首軸からNib,ペン先にかけても同じ仕様で、たぶんキャップも互換性があると思います(やっていないので分かりませんが、寸法的にOKですね)。
Nib,ペン先は14K 5号 でゴールド色で、模様や「PILOT」「14K-585」「5」との刻印はCUSTOM HERITAGE91と全く同じです。
違うのはペン種「<MS>」の刻印です。
首軸とのつなぎ目左側の刻印が「912」と読めるので刻印が入っているので製造年2012年の9月だと思われます。
そう売れるペン種ではないので、長らく在庫されていたものと思われますね(^^;

さて、そのNib,ペン先ですが、更に拡大すると通常のものと大きく違うことが分かります。
Nib,ペン先にスリット「切り割」が2本見えると思います。
ハート穴もありません。
そしてペン先のポイントが大きく平坦に磨いてあるのも特徴です。
このNib、<MS(ミュージック)>ということから、音符を書くためのペン先だと思われがちですが、確かに♬を書くために細い太い線をかき分ける構造となっています。
横に引くと細く、縦に引くと太くなる・・・実はこれって以前に紹介したカリグラフィーペンとほぼ同じような機能です。
そこで、通常のNib<FM>のCUSTOM HERITAGE91と今回の<MS(ミュージック)>CUSTOM74、それとカリグラフィーペン<1.1>のLAMY Joyで書き比べてみました。
どうです?
イメージが分かったかと思います。
ともかくも<MS(ミュージック)>はカリグラフィーペン的な要素が強く、かつ極太文字が書けるペンだということが言えると思います。
14Kであることも含めてしなりのあるNib、ペン先は面白みのある使い勝手かと思います。
ただ、線が思ったように引けるポジション(ペン角度等)にあまり融通性がなく、使いこなすには練習が必要なようです。
これからどう利用していくか・・・楽しみながら使っていきたい万年筆です(^.^)

最後に・・・このNib,ペン先、流石に文字が太いのでインクの消費がめちゃ多いです。
コンバーターを使ってのボトルインク利用がコスト的に良いと思いますね。

超~お気軽万年筆 PILOT Capless Decimo2022年05月11日 21:10

今日紹介するのは今やノック式万年筆の代名詞にもなっているPILOTの「Capless(キャップレス)」、その10代目モデル「Decimo(デシモ)」です。
タイトルに挙げたように超お気軽万年筆で、私が手に入れた国産万年筆の第一号、ドイツ製万年筆も含めても三番目に手にしたものです。
先にも紹介しましたが、昨年4月に日本に一時帰国した際にAmazonで購入してドイツに持って帰った唯一の国産万年筆です。

「Capless(キャップレス)」は、PILOTが開発・製品化した世界初のノック式万年筆で、以外にも1963年の発売と、既におよそ半世紀に及ぶロングセラー商品なのです。
ノック式ボールペンのようにワンノックですばやく書くことができ、ペン先の収納時には、気密性の高いシャッター機構によりインキの漏れや乾燥を防ぐという、国内はもちろん海外でも高い評価を得ている万年筆です。
「Capless(キャップレス)」シリーズの一つ「Desimo(デシモ)」はスペイン語のdecimo=10番目(スペイン語)、つまりシリーズの10代目モデルということで、かなり前から販売されているようです(最初のモデルがいつ販売されたか確認が取れていません。
ご覧のようにスリムでスタイリッシュ、そしてなんといってもノック一発でボールペンのように書き出せることが一番の特徴ですね(^.^)
2019年から2020年にかけて「キャップレス・デシモ 20カラーズ」と題して4弾にわたり豊富なカラー展開を繰り広げ、さらに今年にかけても更なるカラー限定品を出し続けているようで、まだまだ需要が広がっている“売れ筋”な万年筆のように思われます。




そのような中、私が手に入れたのはベーシックなカラー「ダークブルーマイカ」の<F>です。


どうです?スッキリしたボディーに良い色合いでしょ(^_-)
Nib,ペン先を収納した場合、ノック部が少し長いのが気になりますが、ノックをして直ぐ書き出せるという便利さは最高です♪
一方でキャップを外す、キャップを付けるという一種の書き出しの儀式めいたものがないということにさみしさを感じる場面もありますが・・・(^^ゞ

さて、細部を見ていきましょう。

先ず、普通の万年筆と決定的に違う部分・・・それはグリップ、首軸?です・・・


ご覧のように、この万年筆は首軸に相当するところに部分にクリップが付いたままです!
普通の万年筆であればクリップはキャップについていますから、書く時はキャップを外すのでクリップがありませんが、この万年筆はしっかりペンをグリップするところにクリップがあるので、さて?使いやすいのか?ということが一番気になるところですね。
結論を言うと、私の場合、親指・人差し指のグリップ位置がこのクリップで決まるということが逆に使いやすくなっていると思っています。
よく見ると指を添える部分のクリップが少し凹んでいるのが分かると思いますが、これがグリップポイントを決めるいい目安になります(^.^)

さて、それではこの万年筆の一番気になるNib,ペン先の繰り出し具合を見てみましょう。
先ずはNib,ペン先が内部に収まっている時の出口前方斜めから見た状態です。
奥に銀色に光って見えるのが閉まっているシャッターです。
このシャッターによって密封され、乾燥やインク漏れを防いでいます。

それでは、ノックを少し押してみましょう・・・
見えますか?
Nib,ペン先の先端がシャッターを押し開いて少し出てきています。
更にノックを押し込むと・・・
Nib,ペン先、それとペン芯の先端が出てきました。
この位置関係を見ると、密封していたシャッターを最初に押し開くのはNib,ペン先の先端、大事なイリジウムポイントの部分だと思うのですが、耐久性は大丈夫なのでしょうか?・・・
いや、発売されてから半世紀も人気商品として生き残っている万年筆ですから、そのような心配は無用なのでしょう、きっと(^^;

さて、この状態はまだ完全にNib,ペン先が繰り出した状態ではありません。
ノックをさらに押すと、カチッと音がしてノックが固定されます。
この感覚はノック式ボールペンと同じものです。
はい、これでNib,ペン先が完全に繰り出されて固定されました。
Nib,ペン先のグラグラ感は全くなく、書く体制が整いました!
ノック式の筆記具ではペン先がグラグラして固定感がないと書き心地が損なわれますから、しっかりした固定感があってGood!です。
この機構が50年以上も前に確立されたというのはすごいことですね♪

では、次に万年筆をばらしてみましょう・・・
ばらすと言っても、胴軸中央のネジを回して外すだけです(^.^)
この万年筆は以下の三つのパーツに分かれます。

 1)クリップが付いた長い首軸?
 2)Nib,ペン先+ペン芯+カートリッジ&コンバーター差込が一体となった“中身”
   ※この写真では、洗浄済みのインクカートリッジが差し込んであります。
 3)ノック機能の付いた胴軸

えらい細長いNib,ペン先ですね!
正直ちゃちな構造に見え、決して値段に見合うような精密製品ではないように感じます・・・が・・・そうでもないのです。

2)を1)に収める時、“中身”を差し込む位置が決まっています。
下記写真に示したように、1)勘合ネジ部に切り欠きがあり、そこに2)の突起部分を差し込むことで位置が決まりネジが締まるようになっています。
この位置決めによってNib,ペン先が常に一定の方向位を保てるようになっているのです。

さて、存在は小さくても肝心要はやはりNib,ペン先です!
拡大して見てみましょう!
Nib,ペン先には「PILOT」「18K750」「P1220」と刻印されており、更にその下には何かのマークが読み取れます。
このNib,ペン先は18Kのロジウム仕上げで、先に紹介したような3号とか4号といった基本的なNib,ペン先ではなく、どう見ても専用でかつ特殊形状です。
また、「P1220」はP工場2020年12月製造製造と読み取れました。
P工場はどこだかわかりません(^^ゞ

さて、こんな華奢に見えるNib,ペン先の書き味、書き心地はどうでしょうか???

・・・

これが驚きの書き味、書き心地なんです♪
18Kの柔らかさも相まって、心地よい書き心地はサラサラ系♪
超~お気軽ノック式で書き心地も良い!お勧めの万年筆であることは間違いありません。
ちなみに、PILOTの<F>らしく、細い線幅で手帳などの書き込みに合いますね。

私が持っているPILOTの万年筆ではこの「Capless Decimo(キャップレス・デシモ)が一番価格が高いのですが、税別15,000円とそこそこで手が出やすい値段で、それ以上の書き心地を提供してくれる良き相棒です♪

PLATINUMの実用万年筆と言えば・・・#3776CENTURY(センチュリー)2022年05月14日 13:24

さぁ~て、タイトルに使った「〇〇の△△と言えば・・・□□」というフレーズ、これはそのメーカーを代表する商品を示す時によく使われたりしますが、“国産万年筆メーカー御三家の代表的実用万年筆と言えば・・・”でよく挙げられ、比較されるのが次の3シリーズだと言われます。

PILOT    COSTUM74
PLATINUM #3776CENTURY
SAILOR   PROFIT STANDARD

ドイツで日本の万年筆をネットでいろいろ調べていると必ず出てくるのはこの3シリーズで、帰国したら是非手にしてみたいと常々思っていました。
どのモデルも値段が1万円台であり、背伸びする必要がないのが良いですしね(^.^)

PILOTについてはこれまで紹介してきたように、ベスト型のCOSTUM HERITAGE91を手に入れ、COSTUM74は遅れてNib,ペン先が<MS(ミュージック)>という特殊ペン先を手に入れました。
ただ、COSTUM HERITAGE91は軸こそ違えNib,ペン先はCOSTUM74と同じであり(コーティングは違いますが)、書き味、書き心地は同じだろうと思っています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するのは“PLATINUMの実用万年筆と言えば・・・”の#3776CENTURY(センチュリー)です。
PLATINUMもPILOT同様にこれにこだわらずあれこれ試してみましたが、素直に#3776CENTURYに落ち着きました(^.^)
ただ、#3776CENTURYとはいってもHPを見るとわかりますが、このシリーズも長い歴史をたどって展開されてきただけあって、下は税抜1.5万円から上は10倍の価格15万円の漆塗高級品まで様々なモデルが展開されています。
これがベーシックな#3776CENTURYのラインナップで、税抜1.5万円です。
非常にオーソドックスなバランス型で美しさを感じます。

この#3776CENTURYシリーズ、軸の材質や模様など様々に展開されており、例えば美しい模様のセルロイド軸のモデルなんかもあります。
これは魅力的ですよね(^_-)
税抜3.5万円です。

一方で最も高価な#3776CENTURYは・・・これです。
高級加賀蒔絵 「香苑」作 『紅葉』 で、税抜15万円です(^^;
軸、キャップに伝統的な蒔絵が施され高級感を醸し出していますね。
Nib,ペン先は一般的な#3776CENTURYの14Kから18Kへとグレードアップしていますが、形状等は変わらないようです。

そんな様々なラインナップ展開の中で私が先ず手に入れたのがベーシックモデルの仏壇カラー、「ブラック イン ブラック」です。
いいですねぇ~♪
昔からの万年筆の印象、ザ・万年筆!という外観と質感です(^.^)

少し外観の特徴を見てみましょう。
これ単体で見ると分かりずらいので、比較として先に紹介したPILOT CUSTOM74と並べ比べてみました。
先ずはキャップを閉めた外観です。
上がPLATINUM #3776CENTURY
下がPILOT CUSTOM74

一目で分かるのがクリップ形状と太さの違いです。
クリップは特徴的なCUSTOM74に比べて#3776CENTURYは余り特徴もない平べったい形状で、メーカー名の刻印もありません。
胸のポケットにさしている時に「PLATINUM」というのも分かりませんね(^^;
オーソドックスで目立たない・・・ま、これもいいのかもしれませんが。

次に太さの違いです。
並べると分かるのですが、サイズを調べると・・・

#3776CENTURY・・・全長 139.5mm 最大径 15.4mm
CUSTOM74 ・・・・・全長 143.0mm 最大径 14.7mm

と、最大径で0.7mm程太いようですが、数値で見る以上に太く見えますね。
キャップのリングの幅が広いことや長さも3.5mm短いことも影響しているでしょう。

そのキャップリングですが、拡大して見ると・・・
表には「#3776CENTURY」と浮き上がるようにしっかりとエッチング処理してあり、裏側には「P PLATINUM MADE IN JAPAN]と刻印がぐるっとはいって高級感を醸し出しています。

さて、キャップを外すと両者の違いでもう一つ大きなポイントがあります・・・
Nib,ペン先です。
ご覧のように#3776CENTURYのNib,ペン先の大きさがCUSTOM74と並べると際立って大きいのが良く分かると思います。
両方とも富士山を連想させる模様が入っていますが、#3776CENTURYは大きい分だけ平ぺったく見えますね。
#3776CENTURYのNib,ペン先に注目すると・・・
ハート型のハート穴の下に大きな二重文字で「#3776」「P」と刻印され、その下に「14K」「M」「585」と重ねて刻印されています。
製品名の「#3776」はご存知のように富士山の標高を示しており、“日本一の万年筆”という思いを示していることはご存知かと思います。
この大きなNib,ペン先はなかなかの迫力で、“万年筆で書いている”という実感と満足感を与えてくれますね(^.^)

さて、肝心要の書き味・書き心地ですが・・・
ネット上で見かけるプレビューは沢山あり、もしこの万年筆に興味のある方は是非ググってみてください。
かなり参考になると思います。
ここでは簡単に私見を述べておきたいと思います。

ネット上での#3776CENTURYの書き味・書き心地のキーワードとしては次の2点が挙げられています。
 ①硬め
 ②インクフロー渋め

①について、あの大きな平たいNib,ペン先だったら柔らかめだろうと思っていましたが、しなりはあるものの、予想外にしっかり固めてあるといった感じです。
私のような筆圧が高めの人には合うと思います。
硬い鉄ペン好きな私はこの硬さは好きですね(^.^)

②については実は私はそう感じていません。
インクフローは潤沢とは言いませんが、インクもしっかり供給され、そのおかげもあり硬いNib,ペン先にもかかわらずサラサラ系で心地よい紙の抵抗感を感じながら書けると思います。
線幅が<M>だからかもしれませんが・・・
この書き味・書き心地については、後日紹介するもう一本の#3776CENTURY<F>とも比べて再度報告したいと思います。

ひとやすみ クレマチス2022年05月15日 15:15

ちょいと一休みと畑の緑を撮りに行ったら大輪のクレマチスがいっぱい咲いていました♪

おっと、久しぶりに雨が降ったと思ったら畑の雑草が元気に伸びています(^_^;
今から草刈りに・・・


ひとやすみ シャクナゲ2022年05月17日 05:50

家の軒先に咲いていたシャクナゲ、数年前の大雪の屋根からの落雪で根元から幹が折れてもうダメかと思っていました。
が、なんと新たな枝が出てきてこんな綺麗な花を咲かせてくれました♪
もともと野生でも分布するので、流石に生命力は強いようですね♪
亡き父が軒先の坪庭に植えたもの・・・大事にしていきたいと思っています。

独特の筆記感 SAILOR PROFESSINAL GEAR<standard> (プロフェッショナルギア<スタンダード>)2022年05月18日 06:06

さて、国産万年筆御三家の最後はSAILOR(セーラー)です。
これまで紹介してきたPILOTのCOSTUM74(カスタム74)やPLATINUMの#3776CENTURY(#3776センチュリー)と比較されるSAILORの万年筆としてはPROFIT STANDARD(プロフィット スタンダード)となるわけですが、店頭で試し書きをしながら先ず行き着いたのは・・・これ!
PROFESSINAL GEAR<standard> (プロフェッショナルギア<スタンダード>)でした!♪
両端を削ぎ落したようなベスト型で、黒金の仏壇カラーの大型万年筆です♪

本来ならCOSTUM74や#3776CENTURYと同格であるPROFIT STANDARDから選ぼうと思っていたのですが、店頭で実物に触れて魅せられてしまい、しかも、下調べもしないまま店頭で感ずるままに手に入れてしまったのです(^^;
ちなみに、このベスト型のPROFESSINAL GEARには様々なモデルが展開されており、KOP、standard、slim、mini、slim miniの5種類がありました。
現在は、miniがカタログ落ちしており、新しいモデルも出てきているようですが、基本形状はmini以外の4種類で展開されている模様です。
基本スペックと価格(税抜)は以下の通りです。

KOP    Φ20×142㎜     21K超大型 \66,000
standard Φ18×129㎜   21K大型  \25,000
slim    Φ17×124mm  14K中型   \13,000
slim mini Φ17×103mm  14K中型   \13,000

KOPはKing of Penの略だそうで、長さは普通ですがともかく太くて巨大なNib,ペン先が付いている高級品です。
standard以下になると一気に手の届く価格帯になり、COSTUM74や#3776CENTURYと価格的に、また14KNib,ペン先という面で同格なのはslimであることが分かりますね。
しかし、この時様々な魅惑の点に引き寄せられて手に入れたのはstandardでした(^^;

なお、このPROFESSINAL GEARシリーズには定番の黒金の仏壇カラーの他に黒銀のシルバータイプも展開されています。
ん~ン♪・・・シルバーもいいですが、私はこの万年筆にはゴールドが21KのNib,ペン先に合うと思います!

さて、それでは手に入れたPROFESSINAL GEAR<standard>の数々の魅力を紹介していきたいと思います。

先ず、【デザイン】です。
1)絶妙なサイズ感

万年筆の王道デザインといえばバランス型といわれる頭とお尻が丸い形ですが、このPROFESSINAL GEARはその丸みをそぎ落としたベスト型となっています。
そのため、長さが短めになっていますがが、短すぎて持ちにくいといったことはありませんし、キャップを付けずに書くことも違和感なくできます。
また胴軸は約13mmと程よい太さがあるのでグリップ性はとても良いです。
この何とも言えないサイズ感は他の万年筆よりはるかに心地よく感じています♪

2)高級感のある装飾

艶のあるアクリル樹脂に金色でボリュームのあるキャップリングやクリップ、尻軸にも若干太めのリングが装飾がされており万年筆全体に華やかさを醸し出しています。
また、天冠部分を見てみると・・・
セーラー万年筆のシンボルマークである錨マークが輝いています。
天冠部分にこのような装飾が施されていると、こだわりのある万年筆という感じがして非常に高級感があり所有欲を駆り立ててくれますね(^.^)

なお、キャップリングを見てみると・・・
周囲にぐるりと「1911 SAILOR JAPAN FOUNDED」と商品名ではなく、1911年にセーラー万年筆の設立されたことを刻印してあり、造り続けてきた歴史にこだわりを感じますね(^.^)

次に【重量・重心】です。

1)程よい重量感

このペン、見た目は小さく軽そうにみえるのえすが、持ってみると程よい重量感を感じる意外性があります。
PILOTやPLATINUMの同類の万年筆よりかなり重い!というレベルではありませんが、明らかにSAILORの万年筆はちょい重めという印象が付いています。
重量は22gです。
ちなみに、キャップを外した重さは13gと軽量で、重心はペン先寄りになるのでペン先側に重さを感じます。
長さ的にも短すぎないこともあり、このペン先重心も相まって力を入れなくても紙の上でペン先が流れるように動いてくれる感覚を感じることが出来ます。
もっとも、筆圧が強めの私はついつい力が入るので、この恩恵は余り受けないのですが、非常に手の負担が少なくて楽に筆記することができるタイプではないかと思いますね。

2)キャップポストしてもナイスなバランス

キャップポストすると重心が大きく変わり、書き心地が変わる万年筆がよくありますが、このペンはキャップポストしてもほぼ重心が中央寄りになるだけで後ろ側へ倒れるような重さは感じません。
この結果、書き方に大きな変化が起こりにくくキャップをしてもしなくてもどちらでも使いやすいバランスの良いペンと言えます。

次に【Nib,ペン先】についてです。
美しいNib,ペン先です♪
キャップを外した時、このバイカラーのNib,ペン先に目を惹かれます(^.^)
修飾刻印も美しく、そこにセーラー万年筆の創業年である「1911」とシンボルマークである「錨マーク」が大きく刻印され、その下に「21K」「875」「Sailor」と刻印されています。
また根本の横に「H-F」と刻印されていますが、これはNib,ペン先の文字太さを表し、このペンは<F>であること示しています。

さて、このNib,ペン先の魅力を整理すると・・・

1)21金Nib,ペン先

やはり、最大の魅力と言えば21金ペン先ではないでしょうか。
これまで紹介してきた金ペンは14Kか18Kです・・・21Kってどんな感じ?という思いが出てくるのは必然ですよね(^.^)
一般的には金含有量が増えると柔らかくなる、と言われます。
確かに素材自身の柔らかさが増すのは間違いないでしょうが、Nib,ペン先の柔らかさというのは素材だけによるものではありません。
Nib,ペン先そのものの形状や厚さ等々が大きく影響するものです。
さて、この21Kはその書き味や書き心地はどうでしょうか?・・・

2)美しいバイカラー

3)文字太さは細め

もともと太目の文字が好みなので<M>狙いなのですが、店頭の試し書きで太く感じたので<F>を購入しました。
が、実際に使ってみるとかなり細いのです!
他の国産万年筆に比べても明らかに細いのです・・・
どうも試し書きの時の紙とインクに惑わされてしまったようです(^^;ゞ
このPROFESSINAL GEARの後、もう一本PROFIT21を購入しているのですが、この結果を参考にして<M>にしています。
その<M>でもやはり他の国産万年筆に比べて細いです。
どうもSAILORの万年筆は線が細めになるので、手帳のように細かい字や小さな字を書いたりするのでも<M>でも十分対応できるのではないかと思います。

4)渋めのインクフロー

インクフローについては渋めで、潤沢にインクが出るときのようなヌラヌラ感はありません。
これが上記の文字太さが細くなる原因の一つかもしれません。

最後に【書き味・書き心地】についてです。

先のNib,ペン先の方で既に上げていますが、21Kは柔らかいと一般的に言われるほど私はこの万年筆の柔らかさを強く感じてはいません。
確かに鉄ペンなどに比べるとはるかにしなりを感じはしますが、書き辛いほどの柔らかさとは思いませんね。
むしろ、筆記した時の感覚、筆記音がサラサラというかサリサリと心地よい感じがとても良い印象となっています。
インクフローが渋めで線も細めですが、カリカリ感は全くなく横、縦、斜め、どの方向に書いても引っ掛かりもなくスムーズに筆記することが出来ます。
ちょっと不思議な感覚ですが、書いていると気持ちが良くなってきますね(^.^)

以上、少しお値段が高くはなりますが、めちゃ満足する万年筆でした♪
セーラー万年筆、なかなか面白いです。
お勧めです(^_-)